クルマのヘッドライトは、夜間走行や雨天・霧などの悪天候時において、視界を確保するために欠かせない装備です。
しかし、長年使用していると光量の低下やバルブ(電球)の劣化が起こることがあり、知らず知らずのうちに暗くなったり、バルブが切れてしまい視界不良や違反になったりすることもあります。
この記事では、ヘッドライトの交換時期や費用の目安、自分で交換する方法について、初めての方にも分かりやすく解説します。
クルマのヘッドライト交換をしないのは違反?

ヘッドライトが点灯しない状態で走行すると、道路交通法における「整備不良尾灯等違反」に該当します。
普通車が違反した場合、7,000円の反則金に加えて違反点数1点が加算されるため、定期的な点検と早めの交換が重要です。
また、ヘッドライトが正常に機能していても、夜間やトンネル内で点灯しないまま走行すると「無灯火違反」となり、6,000円の反則金および違反点数1点が加算されます。
2020年4月以降に販売された新車には、自動で点灯・消灯する「オートライト機能」の搭載が義務化されました。
これにより、ヘッドライト点け忘れの心配が減り、安全性の向上につながりました。
ただし、オートライト機能搭載車の場合も、日常的にヘッドライトの点検を行い、設定がオンになっているかを確認することが重要です。
ヘッドライトの種類

ヘッドライトには、主に以下の3つの種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、車の使用環境や予算など、重視するポイントによって選び方が異なります。
ハロゲン
ハロゲンライトは、長年にわたって多くの車種で標準採用されてきた、ヘッドライトの最も一般的な種類です。
暖かみのある光を放ち、雨や雪などの悪天候時にも路面の視認性が良いという特徴があります。
発熱量が多いため、冬場にレンズ周辺の雪を溶かす効果も期待できるでしょう。
ハロゲンライトの交換用バルブは、カー用品店や整備工場で1,000〜3,500円ほどで入手でき、自分で交換することも可能です。
ただし、明るさや照射距離については、LEDやHIDに比べてやや劣ります。また、消費電力が高く、寿命は1,000時間ほどと短めです。
HID
HID(High-Intensity Discharge)ヘッドライトは、キセノンガスを使用して高電圧で放電し、明るい光を発するタイプです。
ハロゲンに比べて3〜5倍の明るさがあり、夜間走行時の視認性が大きく向上します。
寿命は2,000〜3,000時間と比較的長いため、交換頻度が少なくて済むのもメリットです。
ただし、点灯後すぐには最大光量に達しない点や、バラストという部品が必要な点はデメリットと言えます。
HIDヘッドライトのバルブの交換費用は、2,500〜20,000円が目安です。
LED
LEDライトは、半導体であるLED素子が発光するタイプで、近年の新車に多く採用されています。
点灯直後にすぐ最大光量に達する即応性と、消費電力の少なさがメリットです。
白く明るい光で視認性にも優れており、省電力でバッテリーへの負担を軽減できます。
また、LEDライトの寿命は最大20,000時間ほどと非常に長く、メンテナンスの手間もほとんどかかりません。
ただし、ハロゲンやHIDに比べると交換費用は高めで、10,000〜40,000円が目安です。
ヘッドライトの交換時期の目安

ヘッドライトの交換時期(寿命)は、搭載されているライトの種類によって大きく異なります。
「まだ点灯しているから大丈夫」と思っていても実際は劣化が進んでおり、光量が低下していたり、視認性が悪くなっているケースも少なくありません。
夜間や悪天候時の安全運転を保つためにも、適切なタイミングでの交換が必要です。
以下に、代表的なヘッドライトの種類とその寿命、交換の目安を示すサインをまとめました。
ヘッドライトの種類 | 寿命 | 交換時期の目安※ | 交換のサイン・特徴 |
---|---|---|---|
ハロゲン | 800~1,000時間 | 2~3年 | ・光が黄色く暗くなる |
HID | 2,000時間 | 3〜4年 |
・光がピンクや紫になる ・ライトがちらつく |
LED | 20,000時間 | 10年以上 |
・明るさが低下している ・ライトのユニットエラーが発生する |
ヘッドライトの種類 | 寿命 | 交換時期の目安※ | 交換のサイン・特徴 |
---|---|---|---|
ハロゲン | 800~1,000時間 | 2~3年 | ・光が黄色く暗くなる |
HID | 2,000時間 | 3〜4年 |
・光がピンクや紫になる ・ライトがちらつく |
LED | 20,000時間 | 10年以上 |
・明るさが低下している ・ライトのユニットエラーが発生する |
※1日2時間程度の点灯を想定
特にHIDは劣化が進むと、色味が白からピンクや紫に変化したり、ちらつきが目立つようになったりします。
LEDは長寿命ですが、一体型ユニットのため不具合が起きると丸ごと交換になる可能性があるので、注意しましょう。
ヘッドライトは、車検時の点検だけでなく、日常的に明るさや色味を確認し、異変を感じたら早めの交換を検討してください。
ヘッドライトの交換費用の目安

ヘッドライトを交換する際の費用は、「バルブのみの交換」か「ヘッドライト本体の交換」かによって大きく異なります。
また、依頼する業者によっても、価格設定に差があるため、比較しながら検討することが大切です。
以下の表では、主な業者ごとに、バルブ交換と本体交換費用の目安を紹介しています。
業者 | バルブ交換費用 | 本体交換費用 |
---|---|---|
カー用品店 | 1,000〜2,000円 | 25,000円〜 |
ディーラー | 3,000〜5,000円 | 50,000円〜 |
ガソリンスタンド | 2,000〜3,000円 | 25,000円〜 |
整備工場 | 2,000〜3,000円 | 20,000円〜 |
タイヤ専門店 | 1,000〜2,000円 | 25,000円〜 |
業者 | バルブ交換費用 | 本体交換費用 |
---|---|---|
カー用品店 | 1,000〜2,000円 | 25,000円〜 |
ディーラー | 3,000〜5,000円 | 50,000円〜 |
ガソリンスタンド | 2,000〜3,000円 | 25,000円〜 |
整備工場 | 2,000〜3,000円 | 20,000円〜 |
タイヤ専門店 | 1,000〜2,000円 | 25,000円〜 |
※表示している金額はあくまで目安です。実際の料金については、事前見積もりによる確認をおすすめします。
※対応店舗によって、サービス内容が異なるケースもあります。
ヘッドライトは安全走行に直結する部品のため、「安さ」だけでなく「技術力」や「信頼性」も比較のポイントになります。
信頼できる業者を選び、適切なタイミングで交換を行いましょう。
ヘッドライトの交換は自分でもできる?

ヘッドライト本体の交換は構造が複雑で、配線処理や光軸の調整が必要となるため、基本的には専門業者に依頼するのが一般的です。
しかし、バルブのみの交換であれば自分で行うことも可能なため、ご自身のクルマがどの種類のヘッドライトを搭載しているかを、取扱説明書やバルブの型番表示で確認しておきましょう。
以下は、一般的なヘッドライトのバルブ交換手順です。
【ヘッドライト(バルブ)の交換手順】
- エンジンを停止し、ヘッドライトがオフになっていることを確認する
- 感電防止のため、バッテリーのマイナス端子を外す
- ボンネットを開け、ヘッドライトユニットの裏側のコネクターを取り外す
- コネクターの根元にあるゴム製のカバーを取り外す
- バルブを固定している金具を外し、古いバルブを取り出す
- 新しいバルブを所定の位置にセットする
- ゴムカバーとコネクターを元通りに取り付ける
- バッテリーの端子を接続し直す
- ボンネットを閉じ、エンジンを始動して点灯を確認する
車種によっては工具なしで交換できる設計になっていることもありますが、輸入車やLED・HIDタイプは構造が複雑なことが多いです。
無理に作業すると故障の原因になることもあるため、難しいと感じた場合は無理をせず、プロに依頼しましょう。
バルブ交換時の注意点
ヘッドライトのバルブ交換を行う際には、以下の3点に注意してください。
- 素手でバルブに触れない
- ヘッドライトが冷めている状態で作業する
- 不安な場合はプロに頼る
指の油がバルブ表面に付着すると、劣化や破損を引き起こす原因になるため、作業時はゴム手袋を着用するか、ガーゼなどで保護すると安心です。
また、消灯直後のヘッドライトは高温になっており、火傷のリスクがあります。
時間を置いてヘッドライトが冷えていることが確認できてから作業を開始しましょう。
さらに、ヘッドライトバルブがしっかり固定されていないと走行中の振動で外れる可能性があります。
作業に不安があれば、プロに交換を依頼することを検討してください。
クルマの点検を依頼するならB-select加入店がおすすめ!

クルマの点検などをプロに任せたい場合は、ブリヂストンが認定する「B-select」※加入店の利用がおすすめです。
B-selectは、全国に800店舗以上を展開しており、ブリヂストンが認めた一定の技術・接客基準で信頼性の高いサービスを提供しています。
ヘッドライトのバルブ交換はもちろん、劣化したライトの透明感を復活させるヘッドライトコーティングやタイヤ交換、無料点検といった総合的なサポートを提供しているため、ぜひお気軽にご来店ください。
※「B-select」とは、ブリヂストンのタイヤ専門店「コクピット」「タイヤ館」「ミスタータイヤマン」「ブリヂストンタイヤショップ」の中でも、高い接客・作業品質を保つ店舗のネットワークです。
※交換等、サービス内容は店舗によって異なります。
ヘッドライトを交換して快適に運転をしよう

ヘッドライトは、夜間や悪天候時の安全な視界を確保するために重要な装置です。
片方が切れているだけでも整備不良となり、視認性の低下による事故リスクだけでなく、交通違反の対象となります。
突然の不点灯を避けるためにも、光の色味や明るさの変化、ちらつきなどのサインを見逃さず、適切なタイミングでの交換を心がけましょう。
さらに、安全な運転のためには、ヘッドライトだけでなくタイヤの点検も欠かせません。
溝の深さや摩耗、空気圧の状態などをチェックし、劣化が見られた場合は早めの交換を検討しましょう。
タイヤ交換の際は全国のB-select加入店と連携し、ネットで注文から取付作業予約まで完結できる「ブリヂストン タイヤオンラインストア」の利用が便利です。
忙しい方でもオンラインでスムーズに購入や取付作業予約ができるため、ぜひご活用ください。