トルク管理は、タイヤ交換時に重要なポイントの一つです。
タイヤのトルクは、強くても弱くてもトラブルの原因となります。クルマを安全に走行させるためには、専用の工具を使用し、適切なトルク値に設定することが重要です。
この記事では、タイヤのトルクについて、締付けが弱い・強い場合に起きるトラブルや、タイヤのナットを締める際に必要な道具、その使い方について紹介します。
トルクとはタイヤのナットを締める強さのこと
トルクとは、ホイールを車体に固定するためのナット(ホイールナット)をどの程度の力で締付けるかを示す数値です。
単位は「N・m(ニュートンメートル)」または「kgf・m(キログラム・メートル)」で表され、締付けが強すぎても弱すぎても走行中のトラブルにつながってしまいます。
適切なトルク値の目安は、以下の通りです。
| 車種 | トルク値 |
|---|---|
| 普通乗用車 | 90〜110N・m(9〜11kgf・m) |
| 軽自動車 | 70~90N・m(7~9kgf・m) |
| 車種 | トルク値 |
|---|---|
| 普通乗用車 | 90〜110N・m(9〜11kgf・m) |
| 軽自動車 | 70~90N・m(7~9kgf・m) |
車種やホイールの素材(スチール・アルミ)によって適正値が異なるため、取扱説明書やホイールメーカーの指定トルクを確認しましょう。
タイヤ交換後はトルクレンチを使い、正しい力で締付けることが安全な走行を確保するための基本です。
トルクの締付けが弱い・強いことで起こるトラブル
トルクの締付けは、強すぎても弱すぎても重大なトラブルを引き起こす原因となります。
走行中の安全性に直結するため、適正なトルク値を設定することが重要です。
ここでは、トルクの締付けが弱い・強い場合に起こる主なトラブルを紹介します。
弱いことで起こるトラブル
トルクが規定値より弱い場合、走行中の振動によってナットが少しずつ緩み、タイヤがガタつく原因になります。
放置するとナットの緩みが進行し、最悪の場合は走行中に脱輪する危険性があります。
実際に、高速道路でタイヤが外れて重大事故につながった事例も報告されています。
「外れたタイヤが歩行者に衝突する」といった二次災害が起こることもあるため、非常に危険です。
強いことで起こるトラブル
一方で、強く締めすぎるのも危険です。トルクの締付けが強すぎると、ナットと車体側のハブボルトに負荷がかかってしまい、ねじ切れて走行できなくなるリスクがあります。
また、ホイールが変形やひび割れを起こす恐れもあり、走行中の異音や振動の原因にもなります。
トルクは、「強く締めれば安心」というものではありません。メーカーが定めた数値で正確に管理することが重要です。
トルクを管理するにはトルクレンチが必要
トルクを適切に管理するには「トルクレンチ」と呼ばれる、ナットを締めるための道具が必要です。
目分量や感覚で締めると、ナットが緩んで脱輪したり、逆に締めすぎてボルトが破損したりする危険があるため、トルクレンチを使用し正確なトルク管理をしましょう。
ここでは、トルクレンチの主な種類と正しい使い方を紹介します。
トルクレンチの種類
一般的なトルクレンチには、「シグナル式トルクレンチ」と「直読式トルクレンチ」の2種類があります。
| トルクレンチの種類 | 特徴 |
|---|---|
| シグナル式トルクレンチ | 指定したトルクまで達するとカチッと音が鳴り、手応えが生じる仕組み |
| 直読式トルクレンチ | トルクの数値を目盛やディスプレイで確認しながら締付けるタイプ |
| トルクレンチの種類 | 特徴 |
|---|---|
| シグナル式トルクレンチ | 指定したトルクまで達するとカチッと音が鳴り、手応えが生じる仕組み |
| 直読式トルクレンチ | トルクの数値を目盛やディスプレイで確認しながら締付けるタイプ |
トルクレンチの使い方
ナットを締めるときは、トルクレンチを使用します。モンキーレンチや十字レンチなど、別の工具で代用するのは避けましょう。
誤った工具を使うと、ネジ山の破損やボルトの伸びといったトラブルが起こる恐れがあります。
また、基本的にはご自身でトルクレンチを使って作業することはおすすめしません。
ナットの締付けには専門的な知識が必要なため、タイヤやホイールに異変を感じたら、無理に調整しようとせず、専門業者に依頼するのがおすすめです。
ここでは、参考として専門業者がどのようにトルクレンチを扱っているか、基本的な手順を紹介します。
【専門業者でのトルクレンチ(シグナル式)の使い方】
- 車種に合わせたトルク値を設定する
- ホイールナットのサイズに合ったソケットを装着する
- ナットを手で締めた後、トルクレンチでカチッと音が鳴るまでゆっくり締める
ナットの締付けは、対角線の順番で均等に行うのがポイントです。片側だけを先に強く締めると、ホイールが正しく装着されず振動や歪みの原因になります。
もし自分でタイヤ交換を行う場合は、必ず車両の取扱説明書に記載されたトルク値を確認しましょう。分からない場合は専門業者にタイヤ交換を依頼するのが安全です。
詳しい記事はこちら
適したトルクを設定するならブリヂストン認定の「B-select」加入店に依頼するのがおすすめ
タイヤ交換の際には、車種に合わせて適切なトルク値を設定する必要があります。
また、トルクレンチを使っていても、力加減や締付け順序を誤ると、ボルトが破損したり、ナットが緩んで脱輪する恐れがあるため、注意が必要です。
専門知識が必要なタイヤ交換については、専門知識と適切な工具を備えたプロに依頼しましょう。
「B-select」※1は、全国に約800店舗を展開するブリヂストンの公式ネットワークで、確かな技術力と品質基準を満たした店舗だけが認定されています。各店舗では、以下4項目の無料タイヤ点検を実施しており、交換が必要な場合はその場で作業も可能です。※2
- 空気圧
- 残り溝
- ひび割れ・傷
- 偏摩耗
交換後は、お客様立ち会いのもと、ナットが規定トルクで締付けられていることを最終確認し、安全性を確保します。
※1「B-select」とは、ブリヂストンのタイヤ専門店「コクピット」「タイヤ館」「ミスタータイヤマン」「ブリヂストンタイヤショップ」の中でも、高い接客・作業品質を保つ店舗のネットワークです。
※2 店舗の混雑状況などによって即日対応可否が異なります。ご了承ください。
正しいトルク値を設定して安全なカーライフを送ろう
安全な走行のためには、定期的なタイヤ点検が欠かせません。特に、タイヤを固定するナットは、適切な力で締付ける必要があります。
また、製造から5年以上経過したタイヤは、ゴムの劣化により安全性が低下するため、早めの交換も検討しましょう。
こうしたタイヤの点検や交換に関するご相談は、ブリヂストンの認定店舗「B-select」加入店までお気軽にご相談ください。
なお、タイヤを交換される際には「ブリヂストン タイヤオンラインストア」での購入がおすすめです。タイヤ選びから取付作業予約までオンラインで完結し、店舗での待ち時間が発生しません。
「サイズ間違い保証」と「パンク補償」の2つの保証も付いており、取付作業料金が含まれているのもおすすめのポイントです。
取付作業は、ブリヂストン認定のB-select加入店で行いますので、トルク値の設定についてもご安心いただけます。タイヤの購入・交換を検討の際は、ぜひご相談ください。