タイヤは使用していると徐々に残り溝が減っていきますが、定期的に点検や交換をせずに長期間使用していると内部からワイヤーが出てくることがあります。
タイヤからワイヤーが露出した状態は非常に危険なため、日頃から点検をしておくことが大切です。
この記事では、タイヤからワイヤーが出てしまう原因やリスク、ワイヤーの露出を見つけた際の応急処置について詳しく解説します。
タイヤのワイヤーとは

タイヤの表面はゴムでできていますが、内部はナイロンやスチールなど様々な素材を使用して構成されています。
タイヤの内部構造は、以下の通りです。

内部構造部位 | 概要 |
---|---|
トレッド | 路面と直接接する外皮部分
カーカスの保護と摩耗や外部からの衝撃を抑える役割 |
サイドウォール | タイヤの側面にあり、走行する際に最も屈曲の激しい部分
カーカスを保護する役割 |
ビード | カーカスコードの両端を固定し、同時にタイヤをリム※に固定させる役目を負っている部分
ビードは高炭素鋼を束ねた構造 |
ベルト | ラジアル構造のトレッドとカーカスの間に円周方向に張られた補強帯
トレッドの剛性を高める役割 |
カーカス | タイヤの骨格を形成するコード層の部分
ワイヤーの露出はこの部分の素材が見えている状態 |
内部構造部位 | 概要 |
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トレッド | 路面と直接接する外皮部分
カーカスの保護と摩耗や外部からの衝撃を抑える役割 |
サイドウォール | タイヤの側面にあり、走行する際に最も屈曲の激しい部分
カーカスを保護する役割 |
ビード | カーカスコードの両端を固定し、同時にタイヤをリムに固定させる役目を負っている部分
ビードは高炭素鋼を束ねた構造 |
ベルト | ラジアル構造のトレッドとカーカスの間に円周方向に張られた補強帯
トレッドの剛性を高める役割 |
カーカス | タイヤの骨格を形成するコード層の部分
ワイヤーの露出はこの部分の素材が見えている状態 |
※リム:ホイールの外側のタイヤをはめ込む部分
特にカーカスは、荷重や衝撃、充てん空気圧に耐えるなど、タイヤの骨格を支える重要な役割を担います。
そのため、トレッドやショルダー、サイドウォール、ビードなど、タイヤの外皮に当たる部分が、カーカスを保護したり固定したりする役目を果たしているのです。
通常は隠れているワイヤーが出ている状態は、トレッドやベルトが破損し、カーカスまで到達しているということになります。
タイヤのワイヤーが出てしまう原因

タイヤからワイヤーが出てしまうのは、いくつかの原因が積み重なった結果である場合が多いです。
ここからは、タイヤのワイヤーが出てしまう原因を紹介します。
ひび割れ・摩耗
経年劣化によるひび割れや、縁石にぶつけた際にできる傷が進行すると、タイヤの内部構造までダメージが及びます。
この状態で走行を続けると、トレッドやサイドウォールが破損し、内部のワイヤーが露出する可能性があるでしょう。
細かいひび割れだからと放置してしまうと、急激に劣化が進む場合もあります。
日常的にタイヤ表面を確認し、ひび割れや傷が見つかった場合は早めに専門店で点検・交換を行いましょう。
ひび割れについて詳しい記事はこちら
空気圧不足
タイヤの空気圧が不足するとタイヤの変形が大きくなり、サイドウォールやカーカスに負担がかかるため、破損してワイヤーが露出するリスクが高まります。
また、タイヤの摩耗が進行し、操縦安定性や燃費の低下にもつながるため注意が必要です。
月に一度を目安にタイヤの空気圧点検を行い、車種ごとにカーメーカーが指定している車両指定空気圧を維持することを心がけましょう。
詳しい記事はこちら
ワイヤーが出たタイヤを装着するリスク

ワイヤーが露出したタイヤでの走行は、非常に危険です。
そのまま使い続けると、次のようなリスクがあります。
バーストの危険性がある
タイヤのバーストとは、タイヤの構造が崩壊することで、トレッド面が弾けて爆発したようになる現象です。
バーストしたタイヤで走行を続けることはできないため、即座にレッカーの手配が必要になります。
ワイヤーが露出しているタイヤは、車両の荷重を支えるための強度が著しく低下します。
そのため、高速道路の走行や長時間走行、縁石などへの衝撃によってタイヤが耐え切れずにバーストすることがあるのです。
特に、高速道路でのバーストは重大事故につながる可能性が高いため、十分な注意が必要です。
詳しい記事はこちら
ハイドロプレーニング現象が起こりやすい
ハイドロプレーニング現象とは、タイヤの溝が浅くなることで路面の水を排水できず、タイヤが水膜によって浮いてしまう現象を指します。
ハンドル操作やブレーキが効かなくなり、大変危険な状態になることがあります。
ワイヤーが出ているタイヤは、トレッドの溝が浅くなっていることが多く、雨の日の運転ではハイドロプレーニング現象が発生しやすいです。
スリップ事故を引き起こすリスクがあり、特に悪天候時には大変危険なため、注意しましょう。
詳しい記事はこちら
燃費が悪化する
タイヤの残り溝が浅くなると、路面との接触面積が増加し、転がり抵抗が高くなります。
エンジンに余分な負荷がかかるため、燃費の悪化につながる点にも注意が必要です。
安全性だけでなく経済性の観点からも、早めのタイヤ交換をおすすめします。
車検に通らない
日本の道路交通法では、タイヤの残り溝が1.6mm未満になったタイヤの使用を禁止しています。
タイヤからワイヤーが出ている場合、すでに残り溝が基準以下である可能性が高く、そのままでは車検に通ることができません。
車検前の点検でタイヤの状態を確認し、適切なタイミングで交換を行うことが必要です。
詳しい記事はこちら
タイヤのワイヤーが出た場合の応急処置

タイヤからワイヤーが出てしまった場合、有効な応急処置は基本的にありません。
そのため、速やかに適切な対応を取ることが安全確保の第一歩です。
具体的には、以下の手順を参考にしてください。
- 速やかに安全な場所でクルマを止める
- ワイヤーの状態を確認する
- レッカーを手配、もしくは自走でタイヤショップへ行き交換してもらう
タイヤの異常に気づいたら、まず周囲の交通状況を確認し、速やかに安全な場所にクルマを停車させましょう。
高速道路であれば非常駐車帯やサービスエリア、一般道であれば交通の妨げにならない広い場所を選んで停車してください。
また、非常駐車帯で停車する際は事故を防ぐために、ハザードランプと停止指示板、発煙筒で後続車に合図しましょう。
クルマを停車させたら、タイヤ全体の状態を目視で確認します。
ワイヤーがどの程度露出しているか、ほかのタイヤに異常がないか、空気圧が大幅に低下していないかなどをチェックし、タイヤが大きく損傷している場合、ワイヤーの露出範囲が広い場合には、その場で走行を中止してレッカーを手配してください。
ワイヤーの露出範囲が狭く、近くにタイヤショップがある場合は、直接向かって交換してもらうことも可能です。
ただし、低速で慎重に運転を行い、急ブレーキや急ハンドルは避けるようにしましょう。
タイヤのワイヤーを露出させないために定期的な点検を

残り溝が1.6mm以下になったタイヤは、法律で使用が禁止されています。
また、残り溝が少なくなったタイヤはワイヤーが露出しやすくなり、バーストやスリップなど重大な事故を引き起こす危険が高まるため、早めの交換を検討しましょう。
タイヤの寿命は使用状況によって異なりますが、サマータイヤの場合は残り溝が4mm以下、もしくは使用開始から5年以上経過したタイミングが、タイヤ交換の目安です。
また、スタッドレスタイヤの寿命は、新品時から50%摩耗しているかどうかが目安となります。
寿命を迎えたタイヤは、ワイヤーが露出していなくても安全性が低下しているため、定期的なタイヤ点検を行ったうえで、早めの交換を心がけましょう。
全国に700店舗以上展開するブリヂストン認定の「B-select」加入店では、空気圧や残り溝、ひび割れや傷、偏摩耗の状態を無料で点検しています。
タイヤの安全性を確保するとともに、必要に応じた交換の提案も行っているため、ぜひ定期点検にご活用ください。
タイヤからワイヤーが出た状態は危険!定期的な点検で予防しよう

タイヤからワイヤーが出ている状態は非常に危険であり、そのまま走行を続けるとバーストやハイドロプレーニング現象が発生して、重大な事故につながる可能性があります。
タイヤからワイヤーが出ているのを発見したら、速やかにタイヤを交換してください。
また、タイヤの残り溝や空気圧の点検は、安全性を保つための基本です。
日常的にタイヤの表面を確認するのはもちろん、定期的にプロに点検を依頼することで、劣化の早期発見につながり、ワイヤーが出るような危険な状態を未然に防ぐことができます。
タイヤの定期点検なら、ブリヂストンが定めた基準をクリアした、高い接客・作業品質を保つ「B-select」加入店がおすすめです。
また、タイヤの購入を検討している方には、ブリヂストン タイヤオンラインストアの活用をおすすめします。
ブリヂストン タイヤオンラインストアなら、表示価格に取付工賃があらかじめ含まれており、店舗での追加費用の支払いは不要です。
取付作業予約はオンラインで完結するため、店舗で待ち時間が発生することがないうえ、取付作業はブリヂストン認定店舗のB-select加入店で実施するため、作業品質にも優れています。
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