タイヤが均一に摩耗せず、一部だけが減ってしまう「タイヤの片減り」は、乗り心地や走行性能に影響を与える重要な問題です。
安全性が損なわれる原因にもなるため、早めのタイヤ交換を検討しましょう。
この記事では、タイヤの片減りが起こる主な原因、そのまま放置することで生じる影響、具体的な対処法について解説します。
タイヤの片減りとは

タイヤの片減りとは、タイヤのトレッド(路面と接する部分)が片側だけ異常に摩耗する現象のことです。
この現象は「偏摩耗」とも呼ばれ、進行するとタイヤの性能が低下し、振動や騒音を発生させるほか、寿命を縮める原因となります。
タイヤの偏摩耗の種類
タイヤの偏摩耗には、いくつかのパターンがあります。
それぞれ異なる原因や症状があるため、正しい知識を持って対策を取ることが大切です。
種類 | タイヤの状態 | |
---|---|---|
片減り摩耗 | ![]() |
トレッドの片側だけが早く摩耗する |
両肩減り摩耗 | ![]() |
トレッドの中心部に比べ、両肩(ショルダー部)が早く摩耗する |
センター摩耗 | ![]() |
トレッドの両肩(ショルダー部)に比べ、中心部が早く摩耗する |
局部摩耗(スポット摩耗) | ![]() |
タイヤのトレッド部が局部的に摩耗する |
ヒール&トウ摩耗(段減り) | ![]() |
タイヤが円周方向にのこぎりの歯のように摩耗する |
タイヤの片減りの原因

タイヤの片減りは、走行性能や安全性に影響を与えるため、原因を正しく理解したうえで、早めに対処することが重要です。
ここでは、タイヤの片減りが起こる主な原因を紹介します。
空気圧不足・過多
タイヤの空気圧が適正範囲を外れると、片減りが発生しやすくなります。
なかでも、タイヤの空気圧が不足していると「片減り摩耗」に加えて、タイヤの両肩(ショルダー部)が早く摩耗する「両肩減り摩耗」が起こりやすくなり、空気圧過多の場合には、タイヤの中心部が早く摩耗する「センター摩耗」が発生する可能性が高まります。
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急なハンドル操作
急ブレーキや急ハンドルなどの運転操作は、タイヤの一部に過剰な負荷をかける原因となり、「片減り摩耗」や「局部摩耗(スポット摩耗)」を引き起こしやすくなります。
特定の部分だけが極端にすり減るため、タイヤの寿命を大幅に短くしてしまう原因の一つです。
アライメントの崩れ
アライメントとは、車体に対してタイヤやホイールが取り付けられる角度や位置のことです。
長年の使用や悪路での衝撃によりアライメントが崩れると、タイヤの「片減り摩耗」が起こりやすくなります。
また、タイヤは取り付け位置によって摩耗する場所が異なるため、長期間タイヤのローテーションをしていない場合、片減りしている可能性があるでしょう。
タイヤが片減りするとどうなる?

タイヤの片減りを見過ごしてしまうと、大きなトラブルに発展することもあります。
日常点検でタイヤの状態を確認し、片減りを見つけたら早めに対処することが重要です。
続いては、タイヤが片減りするとどうなるのか、具体的な影響を紹介します。
タイヤの寿命が短くなる
タイヤが片減りすると、特定の部分が過剰に摩耗するため、タイヤ全体の寿命が大幅に短くなります。
タイヤの寿命の目安は、以下の通りです。
- サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ):残り溝が4mm以下
- スタッドレスタイヤ(冬タイヤ):新品時から50%の摩耗
タイヤの摩耗が進むと走行性能が低下するだけでなく燃費も悪化するため、経済的な負担も増える点に注意が必要です。
乗り心地が悪くなる
片減りしたタイヤは、路面に均一に接地できないため、車内に振動や不快なロードノイズが伝わりやすくなります。
乗り心地が悪化し、特に長時間の運転ではストレスを感じるケースが多くなるでしょう。
また、高速道路では振動が増幅され、運転疲労の原因となることがあります。
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安全性が損なわれる
片減りによってトレッド部分の溝が浅くなると、操縦安定性が低下し、急ブレーキやカーブ時のグリップ力が不十分になります。
また、雨天時にはタイヤと路面の間に水が溜まりやすくなり、ハンドルやブレーキが効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」が起こりやすくなるため注意が必要です。
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車検に通らない
車検に通るには、タイヤの溝が1.6mm以上残っていることが必須条件です。
また、異常な摩耗がない状態であることが求められるため、片減りが発生しているタイヤで車検を通過するのは難しいでしょう。
車検に通るだけでなく、普段からタイヤの状態を確認し、適切な点検を行うことが重要です。
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タイヤの片減りの対策

タイヤの片減りを防ぐには、定期的な点検が欠かせません。
また、運転の仕方や日常的な心がけもタイヤの寿命や性能に大きな影響を与える要素です。
ここからは、タイヤの片減りを防ぐための具体的な対策を紹介します。
適正な空気圧を保つ
タイヤの空気圧を適正に保つことは、基本的でありながら非常に重要な対策です。
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)の調査によると、4台に1台のクルマが空気圧不足の状態※1にあるとされています。
タイヤの空気圧は、クルマメーカーが車種ごとに定めている「車両指定空気圧」を基準とし、0~+20kPaの範囲内で調節するのが理想的です。※2
タイヤの空気圧不足は片減りや燃費悪化の原因となるため、月に1回を目安にガソリンスタンドやタイヤ専門店などで空気圧点検を行いましょう。
また、タイヤから空気が抜けにくい窒素ガスを充填する方法も有効です。
空気圧が長期間安定するため補充の頻度を下げることができ、片減りの予防にもつながります。
※1 JATMAが2015年~2019年に高速道路で実施したタイヤ点検における車両指定空気圧未満の平均値
※2 レインフォースド/エクストラロード規格のタイヤはスタンダード規格の空気圧より高い設定となります
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安全な運転を心がける
タイヤの片減り対策としては、安全運転を心がけることも重要です。
タイヤの特定部分に負荷が集中する急発進、急加速、急停止、急旋回は避け、カーブではしっかりと減速することを意識しましょう。
道路状況に合わせたスムーズな運転を心がけることで、片減りを防ぐだけでなく、安全性や燃費も向上します。
アライメント調整をする
タイヤのアライメントは、クルマが受ける衝撃や長年の使用によって少しずつズレが生じてしまいます。
そこで、タイヤ・ホイールのバランスを調整し、路面に均一に接地させるようにするのが、アライメント調整です。
タイヤの片減りを防ぐには、適宜アライメント調整を行うことも重要です。
アライメント調整には専門知識や機材が必要なため、信頼できる整備工場やタイヤ専門店に依頼しましょう。
タイヤローテーションをする
タイヤの摩耗は取り付け位置によって偏りが生じやすいため、定期的なローテーションが必要です。
5,000km走行に1回を目安としてタイヤローテーションを行うと、タイヤ全体を均等に使うことができます。
ただし、タイヤの適切なローテーション方法は、FF(前輪駆動)車やFR(後輪駆動)車など、クルマの駆動方式やタイヤの回転方向によって異なります。
そのため、専門知識を有するプロに相談しながら行うのがおすすめです。

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タイヤ交換の適切なタイミングは?

タイヤの片減りが重度な場合、安全性や走行性能を確保するために、タイヤ交換が必要です。
以下の状態を目安として、適切なタイミングでタイヤ交換を行いましょう。
【サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)】
- 残り溝が4mm以下になったとき
- スリップサインが露出したとき
- 使用開始から5年が経過したとき
【スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)】
- 新品時から50%摩耗したとき
- プラットホームが露出したとき
タイヤの寿命は使用環境や走行距離によって異なります。
頻繁に高速道路を走行していたり、過酷な気候条件で走行していると、タイヤの劣化が早まる場合があるため注意しましょう。
タイヤの状態を見極めるのが難しい場合には、プロに点検を依頼し、交換が必要かどうかを判断してもらうのもおすすめです。
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片減りに気を付けて安全に走行しよう

タイヤの片減りを防ぐには、日頃から対策を心がけることが重要です。
タイヤの空気圧を適正に保ち、急なハンドル操作や急ブレーキは避けて安全な運転を心がけましょう。
加えて、定期的にタイヤ点検を受け、タイヤの片減りが起きていないかはもちろん、適正な空気圧を維持できているか、アライメントが崩れていないかも確認してもらうことが大切です。
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