降雪の少ない地域に暮らす方の場合、「サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)のまま雪道は走れる?」「タイヤを交換しないとどうなる?」と疑問に思うかもしれません。
気温が下がり、降雪や積雪、路面凍結が発生している中でサマータイヤを使用すると、タイヤのゴムが硬化してグリップ力が低下することで、ブレーキが効きにくくなり、事故のリスクが高まります。
この記事では、サマータイヤを雪道で使うリスクや、スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)との違い、冬に向けた雪対策について、詳しく解説します。
サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)で雪道は走れる?
サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)での雪道走行は、各都道府県の公安委員会が定める「道路交通法施行細則(運転者の遵守事項)」によって禁止されています。
また、積雪路や凍結路を走る際には、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)またはチェーンなど滑り止め装置の装着が義務付けられています。
違反した場合は、公安委員会遵守事項違反として普通自動車であれば6,000円の罰金が科せられるため、注意が必要です。
サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)とスタッドレスタイヤの違い
サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)とスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)は、設計や性能に違いがあります。スタッドレスタイヤは低温下でも柔らかさを保つ特殊なゴムを使用し、氷や雪をしっかり捉える太くて深い溝や、細かいサイプ(切り込み)が多数入っています。
これにより、雪道や凍結路面でも安定したグリップと制動力を発揮するのが特徴です。
一方で、サマータイヤは乾いた路面や雨の日の排水性を重視して設計されており、気温が下がるとゴムが硬くなり、グリップ力が低下します。サマータイヤは雪道の走行を前提としていないため、冬にはスタッドレスタイヤへの履き替えが必要です。
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スタッドレスタイヤの特徴や、ブリヂストンのスタッドレスタイヤのこだわりを、動画でも紹介しております。ぜひご覧ください。
オールシーズンタイヤなら雪道でも走れる?
「1年に数回しか雪が降らないのに、冬季にスタッドレスタイヤに履き替えるのは面倒」という場合は、オールシーズンタイヤも選択肢の一つです。
オールシーズンタイヤは、サマータイヤとスタッドレスタイヤの性能をバランス良く兼ね備え、乾いた路面や雨の日の走行だけでなく、わずかな積雪であれば対応できます。
特に、サイドウォールに「スノーフレークマーク」※が刻印されたタイヤは、高速道路で冬用タイヤ規制が実施されていても走行が可能です。
ただし、凍結した路面での走行性能は、スタッドレスタイヤに比べて劣ります。毎日の通勤や長距離ドライブなど、雪道を走る機会が多い場合は、スタッドレスタイヤへの履き替えを行いましょう。
※「スノーフレークマーク」とは、ASTM(米国試験材料協会)の規格において、厳しい寒冷地でも性能を発揮できる冬用タイヤに付けられるマークのこと。
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雪が降る中でサマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)を使用するリスク
雪道でサマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)を使用すると、以下のようなリスクがあります。
制動距離が長くなる
サマータイヤは、スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)のような柔らかいゴムが採用されておらず、氷や雪をしっかり捉える深い溝もないため、ブレーキをかけてもすぐには止まれません。
JAFが実施した実験において、踏み固められた雪道を40km/hで走行した場合、ノーマルタイヤの制動距離はスタッドレスタイヤの約1.7倍に達したというデータもあります。
速度が上がれば制動距離はさらに伸び、わずかな差が追突事故につながります。
そのため、急発進・急加速・急カーブ・急停止など「急」がつく運転は避け、交差点やカーブなど減速が必要な場所では、制動距離を考慮して早めにブレーキを踏むことを心がけましょう。
スリップしやすくなる
サマータイヤは雪や氷をつかむ細かなサイプ(切り込み)がないため、スタッドレスタイヤに比べてグリップ力が低いです。
雪道や凍結路面を走る場合、発進時やカーブで簡単に横すべりを起こし、車両が制御不能になるリスクが高まります。実際に冬季の事故原因の多くが、スリップやスピンです。前の車両への追突や玉突き事故につながる可能性があります。
立ち往生をする可能性がある
走行中に雪が積もると、サマータイヤが空回りして動けなくなり、立ち往生するリスクもあります。特に高速道路や幹線道路では、1台の立ち往生が大渋滞や通行止めを引き起こすことも考えられます。
冬に向けてやっておきたいタイヤの雪対策
普段は雪が降らない地域の冬の道路でも、気温の低下や積雪により急に凍結することがあります。積雪や凍結がある場合、サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)のままでは走行できません。
全で快適なカーライフを送るためには、本格的な冬が来る前に早めから準備しておきましょう。
続いては、冬に向けてやっておきたいタイヤの雪対策について紹介します。
スタッドレスタイヤに履き替える
サマータイヤからスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)に履き替えるタイミングは、各地域の初雪日の約1ヶ月前が目安です。
「雪がめったに降らない地域だから大丈夫」と考える方もいるかもしれませんが、積雪がなくても早朝や深夜に路面が凍結するケースは全国的に見られます。特に、冬季に高速道路や山間部を走る機会がある方は、早めにスタッドレスタイヤに履き替えておきましょう。
一方で、スタッドレスタイヤを履いたまま夏を迎えるのも危険です。
乾いた路面や濡れた路面でのブレーキ性能はサマータイヤに劣るほか、柔らかいゴムは高温の路面での摩耗が早いため、タイヤの使用年数も短くなってしまいます。
スタッドレスタイヤからサマータイヤに交換するタイミングは地域によって異なるため、気候情報を見ながら「霜・雪・結氷の終日」を目安にサマータイヤへ履き替えるのがおすすめです。
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タイヤチェーンをクルマに乗せておく
サマータイヤのままでも、チェーンを装着していれば雪道の走行は可能です。出発時に晴れていても、山間部や夜間に雪が降ることは珍しくないため、冬季は車内にチェーンを積み込んでおくと安心です。
ただし、チェーンはあくまで補助的な装備であり、雪道や凍結路面を走行する場合、スタッドレスタイヤほどのグリップは期待できません。
大雪警報時の高速道路では「チェーン規制」が発令され、スタッドレスタイヤに加えてチェーン装着が義務付けられる場合もあります。
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雪道での運転で避けるべきポイント
スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)を装着していても、雪道での運転は危険を伴います。
サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)からスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)に交換するのはもちろん、以下のような運転は避けることをおすすめします。
車間距離を詰めない
スタッドレスタイヤを装着していても、雪道では路面が滑りやすいため、制動距離がいつもよりも長くなり思うように停止ができなくなります。
そのため雪道や凍結路面では、普段よりも2倍以上の車間距離を空けて走行するのが安心です。
もし後方から追突された場合でも、距離に余裕があれば多重衝突の防止につながります。
また、数台前の車の動きや信号の変化を早めに把握することで、余裕を持ってブレーキ操作を行うことができます。
急加速・急ブレーキ・急ハンドルをしない
雪道で急なアクセル操作や急ブレーキをすると、スタッドレスタイヤを装着していても、スリップや横すべりが起こりやすくなります。
発進時にはアクセルをゆっくり踏み、カーブではハンドル操作を滑らかに行うなど、余裕を持った運転を心がけましょう。
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タイヤ交換を任せるならブリヂストン認定店舗の「B-select」がおすすめ
雪が少ない地域でも、冬の早朝や夜間は気温が急激に下がり、路面の凍結が発生しやすくなります。
サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)のままでは制動距離が長くなり、スリップ事故の危険が高まるため、スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)へ履き替えをおすすめします。
どのようなタイヤを選べばいいか分からない」「どのタイミングで履き替えればいいのか分からない」という方は、ブリヂストン認定のB-select加入店までご相談ください。
B-selectとは、ブリヂストンのタイヤ専門店「コクピット」「タイヤ館」「ミスタータイヤマン」「ブリヂストンタイヤショップ」の中でも、高い接客・作業品質を保つ全国800店舗以上が加盟するタイヤ専門店ネットワークです。
専門知識を有するスタッフが、タイヤ交換や交換時期、スタッドレスタイヤ選びについての相談はもちろん、タイヤの空気圧、残り溝、ひび割れ・傷、偏摩耗などのチェックも無料で行っています。
冬はサマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)から履き替えて安全な走行を心がけよう
サマータイヤ(夏タイヤ・ノーマルタイヤ)は、低温になるとゴムが硬化しグリップ力が落ち、雪や凍結路では制動距離が伸びて非常に危険です。
初雪日の約1ヶ月前を目安にスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)へ交換し、冬本番前に準備しましょう。
タイヤ交換を検討する際は、ブリヂストンが定めた基準をクリアした高い接客・作業品質を保つB-select加入店までお気軽にご相談ください。
また、タイヤの使用年数が近づいている場合には、インターネットでタイヤ選び・購入・取付作業予約が完了するブリヂストン タイヤオンラインストアのご利用もおすすめです。雪道でも快適に走行するために、計画的なタイヤ交換を心がけましょう。